初心者がまず候補にしやすいのは、「全世界株式」か「S&P500」のインデックスファンドです。
この記事では、新NISAで買える投資信託のうち、投資先の分散・コスト(信託報酬)・人気の3点から、注目されている5本を紹介します。どれが合うかは、人によって違います。
そもそも、投資信託とは?
投資信託は、多くの人から集めたお金を、運用の専門家がまとめて株式や債券などに投資し、その成果を出資額に応じて分け合う商品です。「投信(とうしん)」と略されることもあります。
1本の投資信託の中に、数百〜数千もの企業の株式が入っていることがあります。そのため、少ないお金でも、たくさんの企業にまとめて分散投資ができます。
個別株だけに投資するリスク
特定の1社の株を買う「個別株投資」は、その会社が成長すれば大きな利益が期待できますが、1社に集中する分、リスクも大きくなります。
- 1社の出来事に大きく左右される業績の悪化や不祥事などで、株価が大きく下がることがあります。
- 最悪の場合、価値がなくなることも会社が倒産すると、その株の価値がゼロになる可能性があります。
- 銘柄選びが難しい数多くの企業の中から、将来伸びる会社を選び続けるのは、専門家でも簡単ではないとされています。
個別株
1社に投資します。当たれば大きいですが、外れたときの影響も大きく、企業の調査や銘柄選びが必要です。
投資信託
多くの企業にまとめて投資します。1社の影響は小さくなり、少額から始められ、運用は専門家に任せられます。
この記事に出てくる「インデックスファンド」とは
インデックスファンドは、日経平均やS&P500などの「指数(インデックス)」と同じような値動きを目指す投資信託です。運用に手間がかからない分、信託報酬が低めになりやすく、新NISAでも人気があります。この記事で紹介する5本のうち、バランス型の1本を除く4本は、このタイプです。
貯めたお金は、どこに入れる?
節約して浮かせたお金や、働いて稼いだお金は、簡単には取り戻せない大切なお金です。これを、短期の値動きを当てにいくような、運に左右されやすい投資に使うのは、おすすめしにくいとよく言われます。
では、どこに入れるか。参考になるのが、過去のデータです。金融庁の資料では、1985年以降に、国内外の株式・債券へ毎月同じ額を積み立てた場合の結果が、保有期間別に示されています。
※ 出典:金融庁「つみたてNISAについて」。国内外の株式・債券に毎月積み立てた場合の実績で、将来を約束するものではありません。
短期(5年)では、元本を下回るケースもありました。一方、保有期間が20年になると、年率2〜8%ほどの範囲に収まっています。世界の経済が、長い目で見ると成長してきたことが、背景にあると考えられています。
参考に、米国の大企業500社の株価(S&P500)に、30年前から投資を続けていた場合の推移も見てみましょう。
S&P500に、1996年初に100ドルを投資した場合の推移(各年末)
途中で大きく下がる時期はありましたが、長い目で見ると、右肩上がりで推移してきました。ただし、これは過去の結果です。
※ 出典:officialdata.orgのデータをもとに作成(配当再投資・米ドル建て・2026年9月まで)。円ではなく米ドルでの数字のため、為替の影響で円建ての結果は異なります。
こうした結果から、「長期・積立・分散」が資産形成の基本とされています。新NISAのつみたて投資枠も、この考え方に向いた商品が対象です。全世界株式やS&P500などのインデックスファンドは、実績データの裏付けがあり、多くの人に選ばれている「王道」の選択肢とされています。
ランキングの決め方
次の3つの点を見て、並べています。
- ① 投資先が分散されているか特定の企業や国に偏りすぎないかを見ます。
- ② コスト(信託報酬)が低いか保有している間、毎日かかる手数料です。長く持つほど、差が出ます。
- ③ 人気があるかSBI証券とPayPay証券の、2026年9月の積立・買付ランキングを参考にしました。あわせて、純資産総額(ファンドの規模)も載せています。
注目の5本を比較
1〜2位は、全世界株式とS&P500という、人気の2タイプです。3〜5位は、それとはタイプの違うファンド(バランス型・日本株・先進国株)を選びました。
| 順位 | ファンド名 | 投資先 | 信託報酬(税込) | 純資産総額 | 人気(2026年9月) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) ↓ | 全世界株式 | 0.05775% | 約14.1兆円 | SBI 積立増加1位/PayPay 買付2位 |
| 2位 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) ↓ | 米国株式(S&P500) | 0.08140% | 約13.1兆円 | SBI 積立増加2位/PayPay 買付1位 |
| 3位 | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) ↓ | 株式・債券・リート | 0.143% | 約5,413億円 | PayPay 買付10位 |
| 4位 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) ↓ | 日本株式 | 0.143% | 約8,331億円 | SBI 積立増加4位/PayPay 買付6位 |
| 5位 | eMAXIS Slim 先進国株式(除く日本) ↓ | 先進国株式 | 0.09889% | 約1.38兆円 | PayPay 買付12位 |
※ 信託報酬は、ダイヤモンド・ザイの比較(2026年2月6日時点)をもとにした数字です。純資産総額は、2026年10月15〜16日ごろの、投資信託協会・各証券会社の掲載情報をもとにした概算です(サイトにより基準日が異なります)。どちらも変わることがあるため、最新の数字は運用会社の公式サイトで確認してください。
※ 1・2位の「過去の平均利回り」は、各ファンドが設定から10年も経っていないため、連動する指数の実績です。全世界株式は、MSCI ACWIのファクトシート(2026年9月30日時点・ネット・米ドル)、S&P500は、officialdata.org(配当再投資・米ドル、2026年9月まで)をもとにしています。3〜5位は、ファンド自身の実績(円・2026年9月末時点、マネックス証券の掲載情報から算出)で、為替(円安)の影響を含みます。集計期間の起点で、数字は大きく変わります。
全世界株式とS&P500、どちらがいい?
この2つは、どちらも人気ですが、投資先が違います。どちらが正解ということはなく、考え方で選びます。
全世界株式
日本を含む世界中の株式に、まとめて分散します。「どの国が伸びるか分からないので、全部に投資したい」という考え方に合います。
S&P500
米国の大企業500社に投資します。「これからも米国は成長する」と考える人向けですが、投資先は米国だけなので、米国の影響を強く受けます。
おすすめ5本の詳細
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
世界にまとめて分散したい人に
日本を含む世界中の株式に、1本で分散して投資できるタイプです。今回確認した2つの人気ランキングでは、どちらも上位に入っていました。純資産総額は約14.1兆円と、大きな規模です。
こんな人に:どの国に投資するか迷う人/1本で長く積み立てたい人
いいところ
- 1本で世界の株式に幅広く分散できる
- 信託報酬が低い水準で、長く持つほどコストの差が出にくい
- 人気が高く、情報が多いので、調べやすい
注意点
- 世界の株式全体が下がると、基準価額も下がる
- 米国の比率が高めなので、米国市場の影響は受けやすい
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
米国の成長に期待する人に
米国を代表する大企業500社の株価に連動するタイプです。人気ランキングでは、全世界株式と並んで、上位の常連です。
こんな人に:米国に投資したい人/投資先をシンプルにしたい人
いいところ
- 米国の大企業にしぼって投資できる
- 人気が高く、買っている人が多い
- S&P500は、広く使われている指数で、情報が探しやすい
注意点
- 投資先が米国だけなので、米国経済や為替の影響を強く受ける
- 全世界株式より、投資先の分散は少なくなる
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
値動きをなるべく穏やかにしたい人に
株式だけでなく、債券やリート(不動産)にも分散する「バランス型」です。8つの資産に、同じ比率で分けて投資し、1本で資産の種類を幅広く持てます。
こんな人に:値動きの大きさが不安な人/1本で幅広く分散したい人
いいところ
- 1本で、株式・債券・リートに分散できる
- 株式だけのファンドより、値動きが穏やかになりやすいとされる
- 資産の配分の調整を、ファンドに任せられる
注意点
- 株式だけのファンドより、信託報酬が高め
- 値上がりの勢いは、株式だけの場合より緩やかになりやすい
- 債券やリートも、値下がりすることがある
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
日本の株式に投資したい人に
日本の株式市場の動きを表す、東証株価指数(TOPIX)に連動するタイプです。日本の多くの企業に、まとめて投資できます。
こんな人に:日本の株式にも投資したい人/為替の影響を抑えたい人
いいところ
- 日本の企業に幅広く分散できる
- 円で投資するため、為替の影響を直接は受けにくい
- 人気が高く、買っている人が多い
注意点
- 投資先が日本だけなので、日本経済の影響を強く受ける
- 全世界株式などと比べて、分散先は少なくなる
- 信託報酬は、全世界・米国タイプよりやや高め
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(除く日本)
日本以外の先進国に分散したい人に
日本を除く、米国・欧州などの先進国の株式に、まとめて投資するタイプです。新興国は含まれません。
こんな人に:日本株は別に持ちたい人/先進国にしぼりたい人
いいところ
- 米国や欧州など、先進国の株式に幅広く分散できる
- 純資産総額が大きく、規模のあるファンド
- 日本株は別に持ちたい人が、組み合わせやすい
注意点
- 日本の株式は含まれない
- 米国の比率が高めで、米国市場の影響を受けやすい
- 為替の影響を受ける
選ぶときの注意点
- 人気=自分に合う、とは限らない人気のファンドでも、自分の目的や期間に合うかは別の話です。
- 投資先を理解してから買う何に投資するのか分からないものは、選ばないのが基本です。
- 値動きの大きい商品は、慎重に特定の銘柄に集中するタイプなどは、人気があっても、値動きが大きくなりやすいです。今回のランキングには入れていません。
- 買える証券会社を確認するファンドによって、取り扱いのない証券会社もあります。
よくある質問
- 信託報酬って、なに?
- 投資信託を持っている間、毎日少しずつかかる手数料です。運用の成績とは関係なく、かかり続けます。同じ種類のファンドなら、低いほうが有利です。
- 複数のファンドを持ったほうがいい?
- 最初は、1本から始める人も多いです。全世界株式のように、1本で分散できるタイプもあります。慣れてから増やしても遅くありません。
- どれを買えば絶対に増える?
- 絶対に増える商品はありません。どのファンドも、値下がりして元本を下回る可能性があります。無理のない金額で、長く続けることが大切とされています。
まとめ
初心者がまず見るなら、「全世界株式」か「S&P500」の、低コストなインデックスファンドが候補になります。迷ったら、投資先の考え方(世界に分散するか、米国に絞るか)で選んでみてください。
ファンドが決まったら、買える証券会社を選んで、少額から積立を始めましょう。
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